英語を話せない5歳の女の子ベビーシッターをして分かった聞いて真似ることの大切さ

 私は留学をしていた時、ドイツから移民していた英語が話せない5歳の女の子Malindaの面倒を見ていました。実際にベビーシッターと言う事で、週に3度は面倒を見ていたのです。彼女は、帰国子女と違い、きちんと話せるようになるまで、6ヶ月ほどかかりました。

私が彼女と会ったのは、彼女が5歳の時でした。彼女は、両親の離婚からか、男性と話すことが出来ず、私にも全く口を開いてくれませんでした。それどころか、学校でも無口で、家の中でさえ、親にもほとんど口をきかない子でした。そのため、英語どころか、話すら出来ない子でした。

しかし、信頼関係を作っていくことにより、2ヶ月ほどしたある時、約束をしました。「Could you talk to me tomorrow, please?」「明日は話をしてくれる?」

そして、彼女は、心を開いてくれたかのように、うなずきました。

次の日、彼女は片言の英語で、私に語りかけてきました。「Hello! How are you?」

感動しましたが、この2文だけでした。

そして、その日から、うまく話せないけれど、何とか単語だけをつなげて話をしてきたんです。単語だけをつないで。

I want!! But but butこんな具合です。

しかし、それから数日すると、I want it-! I want that. But but , you did!! こんな具合です。

そして、間違っているかもしれない英語を知りうる限り何度も何度も繰り返し言うんです。そのときは、子供ってしつこいなぁと感じただけでしたが。私は気づいていませんでした。少しずつ、彼女の英語の上達が始まっていたことを。そして、このしつこさや間違っていても言ってしまう羞恥心の無さが、子供は語学の天才と言われる理由と言うことを。

初めは、1語や2語しか話せない状態だったのに、数日後には、3語や4語話せるようになっているんです。

ある日は、こんな具合。彼女はこのように言ってきました。

I want to eat apples. I want to eat cheese. I want to watch TV.
No, It’s my turn.

何十回も、同じフレーズを家の中で言いまくる。下品な言い方で申し訳ないのですが、言う、ではない、言いまくるんです。すると、時々、間違って使われているフレーズをお母さんや幼稚園の先生が発音や文法を直すんです。

例えば、I want to eat apple.と言っていた彼女を、You want to eat apples?
のように。すると、自然と、何度も直されているうちに、直っていくんですね。
I want to eat apples. と。

次第に、何度も言っている言葉はどんどん早く言えるようになっていきました。そして、その文に飽きると、違うフレーズを幼稚園から持って帰ってきました。

ここでポイントなのが、Malindaは何でもかんでも英語の表現を持ち帰ってきたのではない、と言うことです。友達が言っていた言葉で、自分も使ってみたい、と心から思った言葉を真似しているということです。

子供の頃、よく汚い言葉とか、流行しましたよね?学校で流行っているので、家でも使うわけです。そして、両親に怒られたり(笑)これは、子供ながらに、流行っているので自分も使いたい、と言う気持ちから真似していましたよね。

例えば、Yes, it’s something like that.(うん、それはそんな感じ。)こうした言葉を持って帰ってくると、必ず、何かを言うと、Yes, it’s something like that.と返されるんです。

私が「Did you enjoy your class today? (クラスは楽しかった?)」と言うと、Yes, it’s something like that.(そう、楽しかったような感じ。)このように。常に質問に対する答えは一緒なんです。

するとお母さんが、「Malinda, we don’t say “something like that” when somebody asks “did you enjoy your class today”. We say “yes ,I did.”のように直して言ってくれるんですね。 また、彼女は、この頃には幼稚園やテレビで覚えた何を言っているのか分からない歌詞の英語を彼女なりに理解して、歌うようになりました。全てが彼女にとっての英語の教材へと様変わりです。
スポーツなどをしている方は分かり易いと思うのですが、1つのワザを毎日のように練習して、無意識に出せるようになっていく、あの過程に本当に似ています。料理で言えば、1つの料理と言う感覚でしょうか。そして、それに飽きる(無意識に出せる、うまく使える、できる)ようになると、次の技や料理に行くんですね。

遂には、私が言う言葉も真似されました。

私はベビーシッターをしていたので、彼女を寝かせないといけないわけです。
「Malinda, you have to go to bed.」と言いますよね?

すると、「you have to go to bed.」と言い返されます(笑)でも、大人は賢い^^Why?(なぜ)、と私は聞き返しました。

すると、彼女はBecause you have to.としか言い返せない。(というよりも、BecauseとYou have toしか知らないんです。)

でもこれも最初だけ。私が次に、「Malinda, you have to go to bed.」と言うと、彼女は、「Why?」と返してきます。子供は賢いです。その後は、私が以前使った言い訳を使うわけです。

このような具合で、6ヶ月、9ヶ月と時が経っていくうちに、彼女のお母さんや私も顔負けするくらいの英語力を付けるようになっていきました。私の英語もお母さんの英語も、幼稚園で習う英語も、自然に吸収して身につけているわけですから、叶う人はいませんよね。

彼女は今頃、10歳になっています。なので、もう完全に英語には困っていないでしょう。

 彼女は5歳だった頃、参考書は読めなかったので、勿論、英語の参考書は使っていません。もし使った教材があるとするならば、私が彼女に寝る前に読んであげた本や、テレビ番組、音楽、そして、映画です。

では、これらが彼女の英語を飛躍的に伸ばしたのか?それも一概には言えないようです。それは、私達も、洋画を見るし、洋楽を聴きます。大好きな人はしょっちゅう見たり聞いたりしているでしょう。しかし、そういう人が英語を話せるか?と言うと違いますので。やはり英語学習のプロセスが大事なんですね。

英語の音をきちんと真似しようとする、友達や母親、私からも、またテレビやビデオなどからの英語も、適当ながら、真似していくうちに、音が合っていくんですね。そして、自分が使いたい英語を話し、使い方を訂正されたり、発音を直されたりしながら、全くめげずに、むしろ、言いすぎる位に英語を話す。

このような具合で、私が帰国する前には、Malindaは私の友人達で、TOEIC900点以上を持っている人のスピーキング力を遙かに超える速さで英語を話していました。

映画『ホーム・アローン』の主人公の子も若いのですが、5歳とは、あのくらいです。映画を見ても気づくと思うのですが、5歳の子でも、凄く速くて理論的な英語を話していたりするのを聞くことが出来ます。それと同じで、彼女も負けじと劣らず、時を重ねる毎にそのような速い英語を話せるようになっていました。

それは、私の英語やお母さんの英語、幼稚園の英語、友達の英語、映画の英語、全ての生の英語表現をどんどん吸収していったからでしょう。本当に短期間に凄い成長をして、速く英語が話せるようになったんですね。

生の英語表現をどんどん吸収できる基礎力(システム)を自分の中に備えてしまえば、英語はどんどん飛躍的に伸びていくということを改めて思い知らされました。

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